2010年01月20日

警官OB、被害者装い振り込め「阻止力」調査(読売新聞)

 埼玉県警が、警察官OBに振り込め詐欺の被害者を装わせ、金融機関従業員の「阻止能力」をチェックする異例の取り組みに乗り出す。

 被害振り込みの7割超が有人施設で行われており、被害防止へ「最後の砦(とりで)」の引き締めを狙う。トラブルとならないよう支店長らに承諾を得るが、行員らには抜き打ちで行う。今月下旬にスタートさせる。

 全39署がOB団体を通じて、ボランティアの「覆面被害者」を数人ずつ委嘱。被害の多い支店などに派遣し、携帯電話で話しながら現金自動預け払い機(ATM)をあたふたと操作したり、「詐欺なんかではない! 息子に何かあったらどうする!」と声を上げたりといった言動を演技する。

 主なチェックポイントは〈1〉被害者に声をかけるか〈2〉声かけの内容や対処は適切か〈3〉警察に相談・連絡するか――の3点。対応が不十分であれば、署を通じて金融機関側に連絡し、従業員への指導を改めて依頼する。

 県警によると、県内での振り込め被害は昨年、計7億8470万円にのぼり、全国有数。現金送付方法の73%にあたる1042回は、窓口や近くに従業員らがいる有人ATMでの振り込みだった。中には、同じ店のATMを使って3日間で30回以上現金を振り込んだ被害者もいて、「店舗で適切に対処していれば、防げたと思われる事例が目立つ」(県警幹部)という。

 県警は「現実の被害がなくても再指導の機会となる。県民の財産を守ることにつながれば」としている。

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芥川賞・直木賞 選考経過(産経新聞)

 14日に発表された第142回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)。芥川賞は11年ぶりに該当作なしだったが、直木賞はダブル受賞となった。東京・築地の料亭「新喜楽」で行われた選考の過程、講評を紹介する。

                   ◇

 □芥川賞 該当作なし

 ■池澤氏「一本強いものが足りない」

 芥川賞の選考は約2時間に及んだが、11年ぶりの「該当作なし」との結果となった。選考委員の池澤夏樹氏は、報道陣を前に「せっかくこんなにお集まりいただいたのに、残念なことに賞は出ませんでした」と苦い表情で選考経過を明かした。

 1回目の投票で、票を獲得できなかった羽田圭介『ミート・ザ・ビート』と支持1人のみの大森兄弟『犬はいつも足元にいて』の2作が圏外へ。残り3作で討論と投票が2度繰り返されたが、次第に各選考委員の間で3作への評価が弱まっていったという。池澤氏は「今回の5作はいずれも小説を書くこと自体が前提にあるようで、一本強いものが足りない印象を受けた。だが、これで今の日本文学は不調であるという結論には達してほしくない」と講評した。

 藤代泉『ボーダー&レス』は「在日コリアンの問題をゆるやかにとらえた今の時代の小説」と評価する声が上がった一方、「全体としてさわやかすぎるし、(男同士の友情が)ボーイズラブ的。終盤で差別を丸め込むようなアンフェアな言葉が出たのは致命的」との意見もあった。

 松尾スズキ『老人賭博』は「登場人物全員が役割を持っており、安心して読める」と選考委員6人が消極的な支持を表明したが、「弱者の失敗を笑うタイプの小説。安全な場所にいる語り手に倫理的に嫌な部分が残る」との批判があったという。

 舞城王太郎『ビッチマグネット』は「成長小説としてよくできており、倫理性も強い」と評されたが「文学として洗練に欠ける」「タイトルが嫌だ」といった辛辣(しんらつ)な感想も漏れたことを明かした。

 兄弟による共作として注目を集めた大森兄弟について、池澤氏は「純文学はあくまで一つの魂を書くもの。頭から否定はしないが、(2人で)できるなら良い作品を見てみたい」と評した。(三品貴志)

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 □直木賞 佐々木譲『廃墟に乞(こ)う』、白井一文『ほかならぬ人へ』

 ■甲乙付けがたい2作

 直木賞が佐々木譲『廃墟に乞(こ)う』と白石一文『ほかならぬ人へ』の2作に決まったのは選考開始から約2時間半後。選考委員の宮城谷昌光氏が穏やかな口調で4回にわたった選考過程を説明した。

 初回の選考では辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』と、葉室麟(りん)『花や散るらん』が脱落。2回目で道尾秀介『球体の蛇』、3回目では池井戸潤『鉄の骨』が外れた。残った2作はまったく同じ点数だったため、もう一度討議した結果、同時受賞ということになった。

 佐々木作品の受賞理由について、宮城谷氏は「前作の『警官の血』も含めた長年のキャリアと、小説の破綻(はたん)のなさ。習熟度が高く、読み終えたあと、何となしによかったと思わせる。そこにこの作品の持つ良さが表れている」とたたえた。白石作品は「文体および構成力がすぐれている。高級な文体を使い、高級な展開。テーマ、小説の作り方を含め、推す声が多かった」と高く評価した。

 3回目まで残った池井戸作品は「受賞2作と甲乙付けがたかった。読み手に大層分かりやすい。談合がどうして必要で、どうして悪なのか考えさせられるストーリー」としながらも、「人間関係などが少し弱い。それが文章の粗さとともに欠点とされた」と話し、受賞作には一歩及ばなかったとした。

 2回目で落ちた道尾作品については「訴えてくる力が弱かった。対岸の火事のようで、火の粉がここまで届いてこない」と評した。「期待している作家なので、もっといい作品で受賞してもらいたい」と、次回作に期待を込めた。

 最初に脱落した葉室作品について、宮城谷氏は「前回の『秋月記』はよかったが、今回は少し慌ただしい筆だった」と、作品としての粗さを指摘。辻村作品については「語り手の立ち位置が明示されておらず、会話でも誰がしゃべっているのか分からない」と、文体に問題があると話した。(磨井慎吾)

                   ◇

 ■芥川賞選考委員 池澤夏樹、石原慎太郎、小川洋子、川上弘美、黒井千次、高樹のぶ子、宮本輝、村上龍、山田詠美

 ■直木賞選考委員 浅田次郎、阿刀田高、五木寛之、井上ひさし(欠席)、北方謙三、林真理子、平岩弓枝、宮城谷昌光、宮部みゆき、渡辺淳一

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